rohaniのブログ

ゆるっと自然言語処理奴。ときどき工作系バイト。

第4回 Startup Weekend 豊橋 に参加したので感想

少し日が空いてしまったけれど、2019年8月9日〜11日の3日間、Startup Weeked 豊橋 vol.4 に参加したときの印象に残ったことなどを振り返ってまとめた。

※StartupWeekendとは?↓

nposw.org

1分間ピッチのアイディアはウケたけどポシャッた

 「超音波メガネ洗浄機をキッチンの洗濯機にしよう」というアイディアを持ち込んだ。このネタはSWに申し込む前から温めていて、顧客もユーザも想定できて市場も広く、物があるので実証実験も簡単、モノからスタートアップを起業する際のデモンストレーションにもなりそうだと思っていた。
 会場に向かう道すがらに考えた1分間ピッチのパフォーマンスは思った以上にウケがよく、多くの人から面白いと言って頂けたし、シールもたくさん頂けた。本業で超音波洗浄機を作っているという方からお名刺や資料を頂けたりして、出だしは客観的に見ても順風満帆だったのではないかと思う。
 しかし実際には、ピッチのあとのチームメンバー集めの時間でメンバーを1人も集めることができずに「超音波洗濯機」は終わってしまった。最終日の懇談会でも「超音波の人だ〜」と覚えていて頂けたくらいに記憶に残るピッチができていたみたいなので、メンバーを集められなかったのは実は凄く悔しかった。

 「何が悪かったのか?」とアドバイスを求めると「押しが弱かったから」「StartupWeekendのネタとしては魅力がなかったのでは?」「アイディアが完成されすぎちゃって逆に何したら良いか分からなかったのでは?」といった助言をもらった。思い返すと「私のチームにはあなたが必要です」と参加者を口説き落とすことができていなかったし、ピッチでもアイディアの説明はしたけれどビジネスモデルとかSWでやりたいことの具体的な話はできていなかった。「人を口説くのも慣れだから」と励まして頂いたので、そういう機会を得て少しずつ慣れていこうと思う。

迷走ではないピボットを経験できた

 私達のチームが最終ピッチで発表したビジネスは『各家庭に応じたローリングストック習慣を提供する』サービスである。思い返せばこのサービス、初日のピッチ内容と変わらないのは「食材消費サイクルの管理に関する面倒を解消する」という点だけだ。
 消費期限を管理して食材の廃棄ロスを減らすという初日のアイディアから、食品廃棄問題を解決したい企業を顧客にする二日目前半のアイディアに変わり、さらに、ローリングストック法の習慣化に苦しむ一般家庭を顧客にするという大胆なピボットを行った後、二日目夜に発見した既存サービスとの差別化を意識した結果、三日目の午前中にアレルギー対応するローリングストック支援サービスという最終ピッチでのアイディアに終着した。顧客もペルソナもサービス内容も何度も変更を行ったが、どの時点でも全員の合意がとれていたのは、しっかり議論を行えていたからではないかと思う。

 二日目後半の大きなピボットのとき、私は食品廃棄問題を捨てるという判断にどうしても納得がいかなかった。進路を大きく変える判断だと感じたから、腑に落ちないまま進むのが嫌で、何故捨てる必要があるのかとかなり食い下がってメンバーに聞いた覚えがある。正回答がある問題ではないのだ、今思えば他のメンバーだって私にそんなふうに詰問される筋合いはないだろうに、メンバーは私が納得のいくまで根気よく言葉を交わしてくれた。誰もが正解を知らない中で、議論によって進む道を決めていくという感覚が、なんだか妙に印象に残った。迷走とピボットの違いってなんだろう。その疑問を解くピースのひとつを、今回手に入れることができた気がする。

仲間を信じて自分の常識を捨てたら、いつもと全く違う景色が見えた

 私達のチームメンバーは皆個性がバラバラだった。そして今回は、そのバラバラさが良い意味で発揮されていた。

 2日目の夜、私達のチームはサービスの需要を測るために実際に通販サイトを作り、一晩だけだが実際に販売してみる試みをした(結局一つも売れなかったが)。その案が動き出した時、実は内心「まだ起業した訳でもないのに実際に売ったりして大丈夫なんだろうか」と思っていた。しかし、メンバーの中に個人で通販サイトを運営している人がいたので、その人についていく形で試行販売に乗り切ることができた。異なる経験を持つメンバーがいて、自分の常識を捨ててメンバーを信じることができたからこそ、自分一人では決してできなかったこの試みが実行できたのだと思う。

 また、社会人メンバーがいたからこそできたこともある。それは、自分たちのビジネスモデルについて多くの人の意見を聞くという試みだ。二日間を通して、コーチ全員はもちろん、遊びに来てくれた他のチームメンバーや運営サイドの人たち全員に対しても、社会人メンバー2人は積極的にチームのビジネスモデルを説明して意見を求めた。時には作業の手を止めてまでディスカッションを優先する姿勢に、実は最初の頃は「話してばかりいないで手を動かしたほうが良いのではないか」と思っていた。しかし、後になってみると、そうして客観的で多角的な意見を常に取り入れ続けることが、私達のビジネスモデルを練り上げてくれたのだと分かった。
 ディスカッションのやり方も勉強になった。訪問者がいれば、まず聞いてくださいとお願いし、丁寧に説明する。次に意見を全部聞く。このとき、意見を引き出すための質問はしても、意見をねじ伏せるための質問や反対意見は述べない。訪問客が去ったあとで、必要があればメンバー内で議論を行う。このルーチンを、訪問客をトリガーに機械的に繰り返していく。私は未完成のものを他人に見せることに強い苦手意識を持っていて、それは研究を進めたり論文を作ったりする上で大きな障害になっているなと度々感じていた。メンバーから学んだこの姿勢は、私の苦手意識を克服する手がかりになると思った。

 私達のメンバーは皆バラバラの個性を持っていたけれど、それぞれの持ち味が組み合わさったことで、一人一人ではできない多くのことができた。そんなふうに「いい感じ」なチームであれたのも、全員がお互いにリスペクトの心を持てていたからかなと思った。

StartupWeekend、また参加したい

初めて参加したのは2017年2月頃、当時は学部4年生だったと思う。第2回と第3回は見送って、今回の第4回に再挑戦として参加した。

起業には興味がないが、エンジニアで食べていきたいという思いがあるので、ニーズや顧客を捉えたモノ作りのフレームワークを体得したいという目的で参加している。

実際に参加すると、モノ作りのフレームワーク以外にも、本当に多くのことを学べる。二回参加してみて、参加時のライフステージや本業の内容によっても、得られる学びは変わってくるなと思った。

来年度から社会人になる。社会人1年目、3年目、10年目など、立場が変わっていく中で、また何度かStartupWeekendに参加してみたいと思う。
(起業に興味ないのに起業イベントに参加する迷惑おばさんと化す未来が見える...)

感謝

素晴らしい機会を与え支えてくださった運営の方々、たくさんのアドバイスと励ましをくださったコーチの方々、一緒に楽しく参加してくださった参加者の皆様、本当にありがとうございました。

圧倒的感謝。